Windows10 の不必要なファイルを削除する

はじめに

Windows のパソコンをメンテナンスせずに使い続けていると、知らず知らずのうちに不必要なファイルでドライブの空き容量が少なくなってしまいます。ドライブの空き容量が不足すればパソコンが遅くなる原因にもなります。年に一度は、パソコンの大掃除はいかがでしょうか?

本記事では、 Windows の不要ファイルの削除について考えます。本質的には、Windows全般を対象にしますが、 Windows10 環境を前提に記述します。ですが、削除のノウハウは、 Windows11 など他の Windows でも同様に適用できるはずです。

本記事では、隠しファイルなどの一般的ではないパソコン知識を必要とします。知識が不足している場合(削除して良い理由がわからない場合)、データの削除を見送ることを検討してください。

不要なファイルとは?

本記事では、ユーザーデータを対象としません。一般的に「デスクトップ」や「ドキュメント」のフォルダに長年放置された不要なファイルが存在しているものです。ですが、そのようなファイルを本記事では対象としません。

本記事では、 Windows のシステムファイルやアプリケーションによって、管理されているデータを対象とします。「キャッシュなどの一時ファイルで削除しても問題ないデータ」「既に使用しておらず、今後も使用されないと思われるデータ」などを対象とします。

ストレージセンサー

「アプリやシステムの一時ファイル(TEMPフォルダ)」「一定期間が過ぎたゴミ箱内のファイル」「開かれていないダウンロードフォルダ内のファイル」などを自動で定期的に削除する Windows 標準の機能です。

  1. [設定]を開く([スタート] > [設定])
  2. [記録域設定]を開く([システム] > [記録域])
  3. [ストレージセンサー]を[オン]にする
  4. [ストレージセンサーを構築するか、今すぐ実行する]をクリックする
  5. [アプリで使用されていない一時ファイルを削除します]を有効にする

必要に応じて機能を設定してください。

※Windows10 では、TEMPフォルダを直接削除する必要はありません。
 ストレージセンサー機能で削除できます。
※初回や長期間ぶりのクリーンアップは、長時間に及ぶことがあります。
※TEMPフォルダとは、一般的に次のフォルダのことを指します。
 C:\WINDOWS\Temp
 %WinDir%\Temp
 C:\Users\(ユーザーアカウント名)\AppData\Local\Temp
 C:\Documents and Settings\(ユーザーアカウント名)\Local Settings\Temp
 %temp%
 %tmp%

ディスククリーンアップ

Windows 標準の不要なファイルの削除ツールです。
タスクバーの検索ボックスに「ディスク クリーンアップ」と入力し、検索結果の一覧から「ディスク クリーンアップ」を選択することで実行できます。

主な削除項目

項目概要
ダウンロードされたプログラムファイルIE関連のウェブアプリを削除する
インターネット一時ファイルIE関連の一次キャッシュを削除する
Windows エラー報告とフィードバックの診断Windows の診断ファイルを削除する
DirectX シェーダーキャッシュDirectX のキャッシュを削除する
配信の最適化ファイル配信の最適化ファイルを削除する
ゴミ箱ゴミ箱の中身を削除する
一時ファイルアプリの一時ファイルを削除する
縮小表示エクスプローラーの縮小表示用のデータを削除する

システムファイルのクリーンアップ

ディスククリーンアップの「システムファイルのクリーンアップ」機能。

項目概要
Windows Update のクリーンアップWindows Update の古い更新プログラムを削除する
Microsoft Defender ウイルス対策Microsoft Defender の重要度の低いファイルを削除する
Windows アップグレードログファイルWindows Update のログファイルを削除する
デバイスドライバーパッケージ古いバージョンのドライバーを削除する
言語リソースファイル未使用の言語リソースファイルを削除する

※基本的に削除しても問題ありませんが、 Windows が問題対処のために保持しているファイルです。容量が逼迫していないのであれば、削除しない方が望ましいです。

古い復元ポイントを削除する

「システムファイルのクリーンアップ」機能の [その他のオプション] > [システムの復元とシャドウコピー] > [クリーンアップ] から削除できる。

最新以外の復元ポイントを削除できます。

※最新以外の復元ポイントに戻ることは極めて稀であるため、削除しても問題はありません。ただし、 Windows が問題対処のために保持しているファイルです。容量が逼迫していないのであれば、削除しない方が望ましいです。

ブラウザの一時ファイルを削除する

ブラウザでウェブを閲覧しているとインターネットの一時ファイルがどんどんと溜まっていきます。溜まりすぎれば、パソコンが遅くなります。

※ブラウザの一時ファイルを自動的に削除する拡張機能もあります。
※ブラウザの一時ファイルは、基本的に削除しても問題ありません。
 ですが、ブラウザは無意味に一時ファイルを保存しているわけではありません。
 まれに、問題が発生することもあります。
※閲覧履歴を削除するとリンク色の訪問済みのデータが失われます。
※ Cookie を削除するとウェブページのログインが解除されます。
※キャッシュを削除すると次回アクセス時、読み込みに少し時間がかかります。

不要なアプリケーションを削除する

既に使用していない、今後使用する予定のないアプリを削除(アンインストール)する。

  1. 設定を開く([スタート] > [設定])
  2. アプリと機能設定を開く([アプリ] > [アプリと機能])
  3. 不要なアプリを選択して、[アンインストール]をクリックする

※知らないアプリを削除することは、推奨しません。
 知らないアプリが知らない場所で使われている可能性があります。
 既知であり、今後使用しないアプリのみを削除すべきです。

アンインストール済みのアプリケーションデータを削除する

アプリは、アプリ本体のデータ以外にもたくさんのデータを管理しています。その中で、「アプリ内で設定したデータ」「セーブデータ」「操作履歴」「キャッシュ」などアプリをインストールした後に作成されたデータがあります。

このアプリによって作成されたデータは、アプリのアンインストール後も一部が保持されています。アプリは、アンインストール処理でほとんどのデータを削除しますが、再度インストールすることを見越して一部のデータをパソコン上に残していきます。この残されたデータは、時に膨大なデータ量になります。

アプリケーションデータは、次の場所に保存されています。

Windows 2000/XP
C:\Documents and Settings\(ユーザーアカウント名)\Application Data
C:\Documents and Settings\(ユーザーアカウント名)\Local Settings\Application Data

Windows Vista/7/8/8.1/10/11
C:\Users\(ユーザーアカウント名)\AppData\Local
C:\Users\(ユーザーアカウント名)\AppData\LocalLow
C:\Users\(ユーザーアカウント名)\AppData\Rowming

この中で、既に削除済みであり、再インストールでデータの引き継ぎが必要ないアプリケーションデータのみを削除できます。この判断は、とても難しいものになります。パソコンに対する十分な基礎知識がある場合にのみ実施してください。

※アンインストール済みではないアプリデータを削除しないでください。
※ AppData / Application Data は、隠しフォルダです。
 隠しフォルダを表示できない方は、削除しないことを推奨します。
 (隠しフォルダは、初期状態では見えないようになっています)
※ Roming / Local / LocalLow の違い
 データの扱いにより、フォルダ分けされています。

不要な Windows アカウントを削除する

(家族の利用などで)一時的に作成したが、既に不要となり使用していない Windows アカウントを削除する。

  1. 設定を開く([スタート] > [設定])
  2. 家族とその他のユーザー設定を開く([アカウント] > [家族とその他のユーザー])
  3. 削除したいアカウントを選択して、[削除]をクリックする

※必要なユーザーデータ(デスクトップやドキュメントのデータ)は、事前にサルベージしてください。

ハイバネーションファイル(hiberfil.sys)を削除する

デスクトップパソコンなどで休止状態を利用していない場合、ハイバネーション機能を無効にすることで hiberfil.sys ファイルを削除できます。

管理者権限付きのコマンドプロンプトから次のコマンドで無効化できます。

powercfg.exe /hibernate off

次のコマンドで再度有効化できます。

powercfg.exe /hibernate on

※ノートパソコンの場合、ハイバネーション機能の無効化は推奨できません。
hiberfil.sys は、Cドライブ直下の隠しファイルです。
hiberfil.sys は、アクセス頻度が高いため、 SSD の寿命延長効果も期待できます。
 ただし、 SSD を寿命まで使い潰すのは(寿命が長すぎるため)難しいです。

ページングファイル(pagefile.sys)を削除する

Cドライブの容量が逼迫している場合、ページングファイルを削除できます。

ページングファイルは、メモリ上のデータを(メモリの容量逼迫などの理由で)一次避難するための機能です。メモリが不足しがちなパソコンで特に有用な機能です。

  1. 設定を開く([スタート] > [設定])
  2. システムの詳細情報設定を開く([システム] > [詳細情報])
  3. システムプロパティを開く([関連設定] > [システムの詳細設定])
  4. パフォーマンスオプションを開く([詳細設定] > [パフォーマンス] > [設定(S)...])
  5. 仮想メモリを開く([詳細設定] > [仮想メモリ] > [設定(S)...])
  6. Cドライブの仮想メモリをなしにする
    1. Cドライブを選択する
    2. ページングファイルなしを選択する(または、サイズを小さくする)
    3. [設定] をクリックする
    4. [OK] をクリックする

pagefile.sys は、Cドライブ直下の隠しファイルです。
※パソコン全体でページングファイルなしに設定することは推奨できません。
 Cドライブ以外のドライブで仮想メモリを設定してください。
pagefile.sys は、アクセス頻度が高いため、 SSD の寿命延長効果も期待できます。
 ただし、 SSD を寿命まで使い潰すのは(寿命が長すぎるため)難しいです。

デフラグしてファイル断片化を解消する

デフラグは、ドライブ内のファイルを整理することでファイルの断片化を解消します。ファイルの断片化がなくなることでドライブの空き領域の増加が見込めます。

タスクバーの検索ボックスに「デフラグ」と入力し、検索結果の一覧から「ドライブのデフラグと最適化」を選択すると実行できます。

ただし、 Windows10 のデフラグは初期設定で自動的に実行されているため、デフラグをユーザーが明示的に指示する必要はありません。

レジストリクリーナーで不要なレジストリを削除する

レジストリ(Windows のデーターベース)から不要なデータを削除することでパソコン全体のパフォーマンス向上に役立つ可能性があります。

ただし、 Microsoft は、レジストリクリーナーの使用を推奨しないことを名言しています。ここでは、 Microsoft の意を汲みレジストリクリーナーの使用を推奨しません。

不要な Windows の機能を無効化する

[Windows の機能の有効化または無効化] で不要な機能無効化します。無効化により、(不要なソフトウェアが動作しないため)システムの高速化が見込めます。

次の場所で設定を行えます。

[コントロールパネル] > [プログラムと機能] > [Windows の機能の有効化または無効化]

※従来の [Windows コンポーネントの追加と削除] にあたる機能です。
※ Windows の機能の有効化または無効化を行っても、ドライブ容量は増減しません。